SOUTETSUが産声を上げる前、創業者は茶道と一度も向き合ったことがなかった。抹茶は苦いものだという思い込みだけを持ったまま、40代を過ぎていた。
初めて口にした抹茶は、甘かった。その甘さは、単に味覚の話ではなかった。なぜ今まで体験してこなかったのか、という後悔が、そのまま会社の出発点になった。
茶道の専門家でも、建築家でもない人間が、なぜ茶室を動かす会社を始めたのか。最初の茶室は、茶道の先生と建築家が、手作りで仕上げたものだった。そこに、経験のないまま加わったのが始まりだった。やがて法人にし、形にする職人、意匠を描くデザイナー、点前に立つ茶人、届けるための流通——それぞれの分野の仲間とともに、今も現場に立ち続けている。それでも、まだ一度もやめようと思ったことはない。